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8月3日 運動遊びシンポジウム 内容報告レポート

平成2588

比田井 佑介

先日、参加しました講習会についての内容をご報告いたします。

1.セミナー名 「体動かせ 人と関われ 頭使え」~運動とコミュニケーションの必要~

2. 日時     平成2583日 午後1時~午後4

3. 場所     松本短期大学 601号室

4. 主催     長野県体育センター

5. 講師    信州大学 教育学部 医学部大学院 教授 寺沢 宏次

        松本短期大学 幼児保育学科教授 柳澤 秋孝

        諏訪東京理科大学 共通教育センター 教授 篠原 菊紀

               松本大学 大学院健康科学研究科(兼務)人間健康学部 

スポーツ健康学科准教授 根本 賢一

財)国際知的財産研究機構 脳機能研究所 主任研究員

NPO法人運動保育士会 理事 柳澤 弘樹 博士

6.内容

 

●寺沢 宏次 教授

・寺沢教授らは40年前から「赤いランプが点くとゴム球を握り(go)黄色は握らない(no-go)」というGo/No-GO課題を子どもたちに実施してきた。1969年、幼児から中学生の間で行われた調査では、加齢とともに間違いが減少していたが、1979年・1998年の調査では小学6年生の間違いが倍増し、正解率が小学1年生よりも悪い状況となった。

間違えの原因を探ると「握ってはいけない黄色の時に握る」間違えが多く「わっかていても気付くとやってしまっている」という、ブレーキ(抑制)が利かないことがわかった。

子どもを取り巻く環境の変化からこの原因を探ると、子どもの遊びが鬼ごっこ、かくれんぼなどの動的な遊びから、テレビ、ゲームなどの静的な遊びに移行している事実に突き当たった。

・コミュニケーションには、「癒し・治す」の効果もあり、アメリカのスタンフォード大学のスピーゲルの報告には、余命2年と宣告された乳癌患者にグループセラピー(コミュニケーション)を取り入れた結果、余命が2倍以上の期間であったことが報告されている。

また、私たちの日常でも何かつらいことがあった時、友達・家族に話を聞いてもらいホッとする。すっきりすることがあるようにコミュニケーションには人の心また体までも「癒す・治す」ある。しかし現代の子どもはコミュニケーションが不足し「癒し」までも失っていっていると推測している。

・寺沢教授らは子どもの脳に影響している主要因がテレビ・テレビゲームであると推測していたが、Go/No-GO課題への寄与率は2%と関連が低いことがわかり、何が子どもの脳へ影響を与えているか模索した結果、遊びの時間が、ステレオ・テレビの時間に、お手伝いの時間が激減したことで、過程がなく苦労なく即座に目的が達成され、脳に学んだり考えたりする機会を与えない「ボタン」ひとつですべてが済んでしまう現代社会の仕組みが子どもの経験・体験を奪い脳へ影響を与えていると考えている。

 

●柳澤 秋孝 教授

H16年度からの長野県箕輪町の運動遊びを導入の紹介を通し、現場の保育士の取り組み・意識の重要性を指摘した上で、全国・長野県との「全国体力・運動能力調査」の比較を行う。箕輪町の運動プログラムを1年間実施した小学5年生男子の比較にあたり優れている子の割合が上回っている。また、劣っている子の割合が、全国・長野県平均と比べ半分のパーセンテージに注目する。

・今現在子どもたちの1日の歩数は4千歩まで落ち込んでいる。歩数の減少に伴いコミュニケーション能力・学力の低下に繋がっていることを指摘する。この先、昔の環境に近づけるためには少なくとも11万歩を確保できる場を大人側から意図的に提供することが必要である。そこで効果的な支援が柳沢運動プログラムでの「運動遊び」であると提唱する。

・運動プログラムを幼児期に実施した子どもが小学校へ進学してから変化があるのかを調査した、追跡調査(現場の先生方へアンケート調査)では、1年生でプログラムを実施していない子どもに比べて実施している子どもたちは「注意」「抑制」「生きる力」のすべてのカテゴリで優っていた。また3年生の調査では差が見られなかった。この結果に対し教授は「1年生の段階ですでに高い注意力・抑制能力を獲得しており、飽和状態にあった」と考え『運動郡の脳機能における早期獲得説が有力である』と述べている。さらに小学校の50代の校長先生・教頭先生からは「運動遊びを実施してきた子どもは昔の子のようにチャイムが鳴ったら席に着き、休み時間には外に飛び出していく。しっかりとしたメリハリがある」と教授は述べている。

 

●篠原 菊紀 教授

・子どもが3歳時点での脂肪/砂糖が豊富な食事パターンと8.5歳時点での知能(IQ)低下が関連・一方、8.5歳時点での健康留意食パターン(サラダ・米・果物・魚)はIQ上昇と関連がしていた。このことから、食事の大切さ、また食事の身体・脳へ影響の大きさが分かる。

・相手を理解しようとする会話や相手の立場を考慮した議論が遂行機能(日常生活の様々な場面で起きる問題/課題に対処するのに必要な能力)を改善することが分かってきている。

・人間は作り笑いなどでも口角を上げ笑いの表情を作るだけでも脳が刺激され前頭葉が活性化するため、どんな内容の笑いであっても口角を上げて笑顔を作ることが大事である。また、相手の笑顔を見ているだけでも、前頭葉は活性化するため、相手の話をにこにこ顔で聞くだけで相手の脳が活性化し、それが自分にも伝わり、自分の脳もまた活性化していく。

 

●根本 賢一 准教授

・人間は30歳を過ぎると1年毎に1%体力が低下してしまう。何もトレーニングをしない群の場合、80代前半で体力が30%を切り、寝たきりになってしまうのに対し、トレーニング群の場合は90代前半で30%を切る結果となった。この結果から大人にとっても体を動かす事はとても大事である、現代の子どもに当てはめた場合、体力がない状態で20代を迎えた場合、低い値から体力が減少するので、寝たきりになる年代が70代、60代になってしまうかもしれない。

・子どもに走り方を指導する場合、手をグーにして走らせてしまうと肩に力が入ってしまい、身体が前かがみになってしまうため。手はパーもしくは軽く握る程度で、後ろに腕を振るように指導していく。ただまずは子どもたちの歩行が正確(胸を張る・つま先を上げ踵から着地する・背筋を伸ばす)にできてから走法の指導に移行するとよい。

・普段人が、歩行をするときに足を踏み出し踵から着地をするとき太ももの外側の筋肉(外側広筋)を主に使っているため、内側の筋肉(内測広筋)をあまり使われていない。そうすると強い方に引っ張られ脚がО脚になりやすくなってしまう。

・持久力のない人は、生活習慣病・癌になりやすいことがわかっているため、すぐに息が切れない体を作っていくことが将来の健康を守っていくために必要である。幼児期においては鬼ごっこ遊びがおススメである。

 

●柳澤 弘樹 博士

・脳は、身体の全体重の2%の質量しかないが、消費カロリーは全体の20%を占める。このことから、脳はとても大食漢な臓器であり、食事を取らなかったりおろそかにすると、脳が活発に働かなくなってしまう。

・記憶には覚えやすい事柄・覚えにくい事柄があり、好きなこと愉しいこと(自発的な)は覚えやすいので好きなこと愉しいことに関連付けて覚えようとすると記憶しやすい。

・運動する前後の集中力を比べると、運動した後の方が、左前頭葉の活動が活発になる。ただ、運動をお友達と楽しく行った時に集中力は上がるが、一人でひたすら走っていた場合はそれほど集中力は上がらなかった。大切なことは楽しく運動すること。

・「早寝・早起き・朝ごはん」とあるが、生活リズムを整えることで記憶がしっかり定着させることができる。夜遅くまで勉強をさせるよりは、寝ている時に昼間経験した情報を取捨選択して必要な情報を記憶としてしっかりと定着させていくためにも大人が子どもの睡眠時間をきちんと確保してあげる。

・運動をすることは、実行機能(目標を遂げるために過程を遂行していく機能)・正確性・空間認知機能(例、図形の展開など)・反応性など様々な力が身に付き、持久的運動能力が高まりが学力と比例することが分かっているので、子どもたちが自発的に体を動かす環境を大人側から作っていく必要がある。

 

7.討論

Q.発達障害の子どもたちへの援助・運動療法として模擬運動の他に運動と脳の関係で何かいい運動はないですか?

A.(柳澤 弘樹 博士)

楽しく行うことがとても大切な要素の一つである。その中で継続性を狙った場合に、「いつでも・どこでも・すばやく・効果的に」出来る動きとして、ダンス・ステップ遊びがオススメである。ダンス・ステップ遊びは効率よく体を動かすことができ、模倣的な部分や、子ども自身が考える・リズム感などバランス良い遊びである。まずは、子どもにポーズを取ってもらったり、先生のステップ(動き)を真似していく。

 

Q.持久力を上げるための運動遊びはないですか?

A.(根本 賢一 准教授)

鬼ごっこがオススメの遊びになる。鬼ごっこには持久力を上げるインターバル・トレーニング(一定の間隔で疾走とゆっくり走ることとの繰り返し)の要素も入っているため、朝の時間や、休み時間にオススメである。

 

Q.保育園(年長児)で竹馬を練習しているが、動くことに対して積極的でない子は中々、竹馬に乗って前に進むことができない。どうすれば乗れるようになりますか?

A.(柳澤 秋孝 教授)

現代の子どもたちでは、いきなり竹馬を渡して練習をさせても出来るようになるのは難しい。まずは、基本的な運動能力を柳沢運動プログラムのプログラムを使いクマ・ワニ・カンガルー・カエルなどはもちろん、逆さになったり、転がったり様々な動き・経験・体験非日常的な動きを積み重ね調整力・バランス感覚・基礎体力を身につける必要があるため、日々の中で少しの時間でいいので運動遊びを取り入れることが必要である。

 

 

     

以上

 

以上の事から、幼児期における運動支援は、現代の世の中では、必要不可欠な

ことになっております。是非、柳澤秋孝教授が提唱する「全ての子どもが、運動好きになる」ことを子育て、保育や教育に携わっている皆様に実践していただきたいと願っております。

 

 

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masa@undouhoiku.jp   担当:宮沢優紀