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0歳~1歳の子どもを対象にした、乳幼児の運動遊びの紹介
乳児にはどのような運動を提供したら良いか?よく出る質問だが、経験的なところからだけ述べるのは、客観性がない。ということで、乳幼児に必要な遊びについて。そもそも、乳児は急速な発育急進期にあり、生まれたばかりの白紙の状態から、いろいろなものを学び取っている最中である。パソコンができない大人が、基本である電源の切り方、マウスのクリックの仕方を教わっているときに、「後々のことを考えると、パーティションを区切ってCドライブにOS入れて、Dドライブにソフトを入れた方が・・・」なんて話をされたら、よー分からんし、難しさに拍車がかかってしまいやる気がそがれる。同様に、乳児もまずは基本的な動作から習得する必要がある。
大脳を切除しても、動物は脊髄と脳幹があればある程度の行動が電気刺激で再現できる。歩行などの基本的な動きは、中脳の上丘、猫のひる返りは赤核の神経核があれば良い(前庭核が機能していれば)。赤ちゃんは、ようやく歩くことを覚えてきたくらいのときには、このあたりの神経が頑張って働くようになってくる。まだ大脳の発達は未熟なので、足下に障害物があってもなかなかよけられないから、躓いてよく転ぶのは仕方が無い。その後、子どもは器用さと正確さが身についてくる。ちなみに、器用さは運動関連領野からの錐体路を通した運動ニューロンの直接支配、正確さは連合野の領域拡大によって高められる。
運動関連領野は延髄の錐体路を通って、直接脊髄に投射しているから、私たち霊長類は手先がとても器用に使えるようになった。大脳の運動制御が直接的になったので、道具が使えるのである。
この基本的な仕組みがあることが前提に、乳児は次第に大脳皮質連合野を発達させ、様々な環境要因と内的欲求に応じて、行動するようになってくる。この時期から、感覚と運動が統合されてくる。年齢にして1歳過ぎあたりからだろう。
しかし、いつまでも高次中枢である大脳皮質連合野が運動の舵取りをしているようでは、他のことができなくなる。自転車をこいで夕飯の買い物に行っているとき、自転車をこぐだけで精一杯では、おかずを何にしようか考えることができずに困ってしまう。そこで、ある程度、繰り返された動きや作業は学習済みとなり、小脳や大脳基底核が下請けする。要するに動きが自動化されるのである。
もちろん、何らかの原因で非常事態が起こった場合には、大脳皮質連合野が参加してきて対応をする。大脳皮質連合野(たぶんDLPFCあたり)は、常に行動や周りの状況を監視をしているので、状況判断の早い子、巧緻性の高い子は、集中力が高いような気がするのも納得できる。
まとめると、脳幹・延髄・前庭核が司る動きを行う。それによって運動関連領野 → 脊髄の連絡が円滑になる。具体的には、バランス系の動き。抱っこした状況でも行うことができる。その後、大脳皮質連合野が発達してくるので、器用さ、正確さなどが高められるような取り組みを行う。最終的に、型にはまった動きだけでなく、考えながら、予測しながら行えるような動きを行っていくのが良いということになる。


